福岡県大川の建具組合の依頼による「建具による新しい空間」のためのインスタレーション。
かつて日本において建具は、雨戸や障子として縁側を構成していた。近代化以降、主に都市部では高密度化と同時に縁側のような中間領域が消失し、建具の役割も減少した。そこで窓を「室内側に拡張」することで、縁側のような中間領域を現状の都市環境に点在させ、建具の新しい可能性を開くことを考えた。
壁と窓をつなげることでグラデーショナルに外部環境を取り込むプロタイプを試作した。壁と同化した小さな穴に指をかけ引っ張り出すと、風と光が滑らかに室内に伸びていく。口や目は「吹く」、「覗く」といった行為を担う器官だが、これら身体的スケールの穴が壁という大きな空間エレメントまでつながっていく。建具職人が持つきめ細やかな技術と、建具や家具といった垣根を超えて考えたディテールの工夫がこれらを可能にした。
窓をたくさん重ねたように見えるので「重窓(かさねまど)」と名前をつけた。まるでシャボン玉を吹くように、小さな穴から大きい世界に向けて窓が広がっていくシームレスな体験装置の提案。
Site: Fukuoka
Program : Installation
Architect : Yu Momoeda, Naoya Isemoto
(YU Momoeda Architects)
Completion : Feb. 2018
Construction : Okawa Tategumi ’A’
Photo : Yashiro Photo Office